転職の相談を受けていると、時々、こんなことを言われます。

 

「離職率の高い会社には入りたくありません」

「離職率の低い会社の方がいい会社ですよね」

 

確かに気持ちは分かります。

離職率の高い会社って、仕事がキツイんじゃないか、上司がパワハラするんじゃないか?もしかしてブラック企業なのかも・・と思いますよね。

離職率が低ければ、みんなが優しくて安定した会社で、なんとなく働きやすそうなイメージです。

 

離職率の低さを会社のメリットとして謳う企業もありますね。

離職率を下げるために、人事はあれこれ手を尽くすのも事実です。

 

では、離職率が低い会社は良い会社・・なのでしょうか?残念ながら、私は違うと思ってます。

離職率が低いことが、逆にデメリットだということもあるんですよ。

 

離職率とは、会社に雇用される人数に対して辞めた人の割合

 

知っている方も多いと思いますが、おさらいです。

そもそも離職率って何でしょう?

 

離職率とは、会社が雇用している労働者に対して離職者がどれぐらいいたかをパーセントで表したもの。

厚生労働省の雇用動向調査結果には、このように書かれています。

 

離職率

1月1日現在の常用労働者数÷離職者数×100(%)

常用労働者とは次のいずれかに該当するもの

  1. 期間を定めずに雇われている者
  2. 1か月を超える期間を定めて雇われている者

  3. 1か月以内の期間を定めて雇われている者又は日々雇われている者で、前2か月にそれぞれ 18 日以上雇われた者

 

離職率が高いということは、会社に雇用される人数に対して辞めた人の割合が高いということだし、離職率が低いということは、逆に辞めた人の割合が低いということですね。

 

やっぱり、離職率が低い方がいいじゃないか!

会社に不満があるから辞めるんだし、辞める人が少ないということは、居心地の良い会社だということでしょ?

 

と思った人は要注意。そんなに単純な話ではありません。

 

離職率が低い=人材の流動性が低い

 

人材の流動性、雇用の流動性って聞いたことありますか?

人材の流動性とは、1つの会社や組織にとどまるのではなく、色々な会社や組織に移動すること。

日本は、人材の流動性、雇用の流動性が低いと言われています。それはなぜか?つい最近まで、終身雇用が当たり前だったからですよね。

 

離職率が低い会社というのは、辞める人が少ないので、当然人材の流動性も低くなります。

新しい人を無尽蔵に雇い入れる会社はありませんから、必然的に新しい価値感に触れる機会は少なくなります。

 

大手企業に多いように思いますが、中にいる人は居心地がいいんですよ。

価値感が変わらないから、その会社にいればいるほど、居心地が良くなる。「うちの会社はこうだから」が暗黙のルールとして存在している。それに疑問を持つこともない。

 

さらに言うなら、流動性が低いと組織が硬直化しやすくなります。

新しい人や新しい価値感が入ってこないので、当たり前ですよね。

 

結果、自分たちの会社の常識や価値感が、世間の常識や価値感だと勘違いしてしまうのです。

 

「新しい風となってくれることを期待しています」

「新しい価値感をどんどん入れてください」

 

こう言われて期待して入社したけれど、そんな土壌が育っていないどころか、全力で否定された・・という経験を持っている人もいるんじゃないかな?

 

変わる必要性を感じていないし、変わることが怖いんですよね。

新しい価値感を入れるということは、今まで「正しい」と思っていたことが「正しくない」ことになるかもしれないし、暗黙のルールが通用しないということですから。

 

離職率が低いから、会社に不満がないわけではない

 

会社を辞めるのは会社に不満があるから。

だから離職率が低い会社は、会社に不満を持っている人が少ない。

 

という話も聞きますが、これまた残念ながら、そんなことはありません。

「辞めたいけれど、他では通用しないことを分かっているから居座る」という人もいるのです。

 

不満があって、自分のスキルや経験が他でも通用することが分かれば、不満だらけの会社にいる必要はないですよね。

でも、自分のスキルや経験に自信を持てなかったら・・

 

20代や30代前半の若手なら、未経験の職種にチャレンジできるかもしれません。

 

でも、30代後半、40代になってからチャレンジできますか?

「できない」という人が多いんじゃないかな?一人暮らしならまだしも、家庭を持っていたら、その気持ちはもっと強くなりますよね。

 

転職できないかもしれない。

仮に転職できたとしても、今よりお給料が下がるかもしれない

 

だったら、不満はあるけれど今の会社にいた方がずっといい

 

という考え方をする人も一定数いるということです。

残念ながら、この考え方をする人ほど、会社や上司の不平不満を言いますね。

自分のスキルや経験をあげることに時間と労力を使ったらいいのにな、と思いますが、そうならないんですよね。ほんと、残念です。

 

何人辞めたかよりも、どんな人が辞めたかの方が大事

 

私は、離職率を必要以上に気にする必要はないと思います。

もちろん、あまりにも高すぎるようだったら気にしなければいけなけれど、本当に気にしなければいけないのは、「誰が辞めたのか」です。

 

その会社にいても、強みや能力が発揮できない人が辞めたなら、それはお互いのためにハッピーです。

常に上司や会社の悪口を言って、周りの士気を下げるような人も、退職した方が会社の為です。

 

一方で、「この人には辞めてほしくない」と思う人が退職したなら、それは考える必要がありますよね。

 

私が以前いた会社で、一時的に離職率が高くなったことがありました。

ご多分に漏れず関係者で「離職率を減らすにはどうしたらいいか」という会議を開いたのですが、その時、「まずはどんな人がどんな理由で辞めたか、ひとりずつ明確にしよう」ということになり、

  • 退職者がやっていた仕事
  • 退職者がどのぐらい会社に貢献していたのか
  • 退職者の言動はどうだったのか
  • 退職者が退職したあとの社内はどう変わったのか
  • 退職した理由

 

これらを全部洗い出したところ、「お互いのために辞めてもらって良かったね」という結論に達したんです。

で、どうしたかというと、「離職率を減らす」ことに焦点を当てるのではなく、「会社にとって辞めてほしくない人が退職しないようにするにはどうしたらいいか」という視点に変えました。

 

離職率を減らすことに目を向けると、本来なら他社に行った方が能力が活かせる人、成長出来る人までも、自社で抱え込もうとしてしまいます。

その結果、本当に残って欲しい人が、辞めてしまったら本末転倒ですよね。

 

とは言え、能力が高い人ほど、会社を辞めていくのも事実。

だったら、無理やり居続けてもらう方法を探すよりも、辞めたあとも良い関係を作れるようにした方が良いですよね。

 

例えば、辞めた人が別の会社に行った時に「あの会社出身の人は優秀だ」と言う評判が広まれば、採用市場でもアドバンテージになるし、新しい顧客が増えるきっかけにもなるのです。

 

目先の数字だけにとらわれたら、本質を見失う

 

数字ってごまかしがきかない、分かりやすい分、それにとらわれやすくなります。

 

離職率が低い会社が良い会社

離職率が高い会社は悪い会社

 

離職率が低くても、古い価値感にとらわれていて新しい人を受け入れないところだったら、成長意欲もなく、ただ会社に居続けるだけの人が多かったら、それは良い会社なのでしょうか?

ひとつ上の環境に身を置けるだけのスキルや経験が身につけられる会社でも、離職率が高ければ、それは悪い会社なのでしょうか?

 

数字だけ見ていたら、その本質は分かりませんよね。

その数字の裏側に隠されているものは何か?をぜひ、考えるクセをつけてください。

 

その積み重ねが自分の価値を高めていくことになりますよ。

特に転職したい人は、目先の数字に踊らされて「こんなはずじゃなかった」とならないように気をつけましょう!

 


 

「こんなこと誰も教えてくれなかった」

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