昨日のTOKIOの会見、皆さんご覧になりましたか?

私は外出していたので、リアルタイムには見ていないのですが、どの局も夕方のニュース番組で取り上げていたので、大まかな内容は把握しました。

 

このブログで、山口達也さん本人についてはもちろん、今後のTOKIOについてを取り上げるつもりも、あれこれ言うつもりもありません。

 

そうではなくて、この会見を見たニュースキャスターやコメンテーターが

 

「辞表をメンバーに託すのはおかしい」

「普通の会社だったら、こんなことはありえない」

 

などなど、あれこれと持論を述べていらっしゃいましたので、人事という視点でこの件を見ると、どんな風に捉えられるのかを書いてみようかと思っています。

 

一般企業と同じ視点で見ることはなかなか難しいのだけれど、極力その視点で見てみますね。

 

  1. そもそも、山口達也さんとジャニーズ事務所の契約はどうなのか
  2. 退職願をリーダーである城島さんに託したのは「おかしい」ことなのか
  3. 退職願に対して、「結論を出せない」は本来おかしい

 

今回の会見を人事視点で見るなら、私はポイントは上記の3つだと思います。

 

1.そもそも、山口達也さんとジャニーズ事務所の契約はどうなのか?

 

私が会見のダイジェストを見た時に、一番最初に引っかっかったのが「タレントでも退職願なんだ」ということ。

(多分、会見を見てこれが気になった人は、ほとんどいないですよね・・職業病かも)

 

人事の世界で“退職”と言えば、労働者が会社を辞めること。労働契約を解除することです。

労働契約とは、労働者(この場合は山口達也さん)が使用者(ジャニーズ事務所)の指揮命令の元で労務を提供し、その労務の対価として使用者が賃金を払うことについて交わす契約です。

 

分かりやすく言えば、一般企業でいう会社と正社員の関係ですね。

『労働契約の解除願い=退職願』という捉え方なので、退職願を出したということは、山口さんとジャニーズ事務所は雇用関係なの?と思ったわけです。

 

でも、なんとなくシックリこなくて、ちょっとネットで探してみました。

もちろん、山口さんとジャニーズ事務所の間の契約が何か・・なんてことは書かれていません。

 

ただ「芸能人 契約」と調べたら、芸能人はどうやら事務所と『専属マネジメント契約』あるいは『専属芸術家契約』というものを結ぶらしいのです。

 

では、この専属マネジメント契約(専属芸術家契約)ではどんな契約を結ぶんだろう?と、さらに調べてみました。

すると、「一般社団法人 日本音楽事業者協会(音事協)」が作成した「専属芸術家統一契約書」を雛形として締結されているようです。

 

専属契約書の中身を見てみると、労働契約ではなくて請負契約にとっても近い内容でした。

ただ、契約書はあくまでも「雛形」なので、事務所によってアレンジしているとは思います。

 

それに、昨今の移籍トラブルで、どうやら見直しの必要性にも迫られているようですし、契約の内容によっては、専属マネジメント(専属芸術家契約)ではなくて、一般の雇用契約に該当することもあるようです。

 

ちょっと話が逸れますが、昨年話題になった清水富美加さんの契約解除の騒動は、清水さん側は雇用契約だったと主張し、所属事務所は専属芸術家契約だったと主張していたようです。

 

というわけで、山口さんとジャニーズ事務所の間の契約も、一般的な雇用契約である可能性もあるのですが、まぁ、普通に考えてその可能性は少ないですよね。

 

ということは、山口さんはあくまで「事業者」あるいは「個人事業主」という立場のはずなので、そもそも『退職願』は変なんですよね。

 

もし山口さんが提出するなら「契約解除願い」でしょうか。

 

2.退職願をリーダーである城島さんに託したのは「おかしい」ことなのか

 

山口さんは、「自分がTOKIOにいることで、皆に迷惑がかかる、だからTOKIOを辞めさせて欲しい」とリーダーである城島さんに退職願を渡したようですね。

 

このことについて、「仲間に渡すのはおかしい」「渡すならジャニーさんじゃないか」という声が上がっていますが。

 

ジャニーさんって社長ですよね?

仮に山口さんを社員だと仮定をしたら、社員が直接社長や副社長に退職願を出すことはありません。

(社長、あるいは副社長が直属の上司であれば別です)

 

一般的には、社員が退職願を提出する相手は、直属の上司です。

山口さんの直属の上司って誰なんでしょうね?

 

TOKIOは仲間だという言われ方もしていましたが、一般企業であればTOKIOはプロジェクトチームと捉えることもできるわけです。

 

5人の労働者が集まってTOKIOというプロジェクトチームを作った。

そのプロジェクトチームが、様々なクライアントに対する仕事をしているという捉え方ですね。

 

TOKIOをプロジェクトチームとして捉えるなら、そのリーダーである城島さんは、プロジェクトの責任者、すなわち山口さんの直属の上司という捉え方をしてもおかしくはありません。

だから、山口さんが城島さんに退職願を渡したのは、「おかしい」と言い切れないんじゃないかと思うのです。

 

3.退職願に対して、「結論を出せない」は本来おかしい

 

山口さんの退職願を受け取ったTOKIOのメンバーは、素直に受け取れなかったというようなことを話していました。

 

ここで感情論を持ち出すと、ものすごくややこしくなるので、今回の記事は個別の事情や感情論は排除して、一般企業で退職願を出されたら・・という視点で書きますね。

 

労働者には、職業選択の自由が認められています。

企業が職業選択の自由を侵すことはできません。

 

もちろん、退職願を提出した労働者に「やめないでくれ」「残って欲しい」と依頼することは出来ます。

出来るのは、「依頼」だけなんです。

 

やめないでくれ!とお願いすることは出来ても、やめるな!と強制することはできません。

だから、山口さんが辞めたいと言って退職願を出したことに対して、受け取った側が「辞めてもいい」「辞めなくていい」と判断することはできないのです。

 

そして、退職願を企業が受理した場合は、原則として撤回できません。

 

時々、退職願を提出したあとに、やっぱり辞めるのやめた。最初に退職の意思を伝えた時に引き止められたから、撤回できると思う人がいますが、甘いですよ!

もちろん、退職の撤回を申し出た時に、企業が「辞めなくてもいいよ」と言った場合は別ですが、そうでなければ、いくら「やっぱり辞めるのをやめたい」と言ってもダメです。

 

「労働者には、会社を辞める自由がある。そしてその言葉には責任を取らなければいけない」

 

ということですね。

 

芸能界と一般企業では、慣習も全く違います。

だから、一般企業の視点で今回の会見の内容を捉えるのは、本来無理があることですよね。

ただ、契約ひとつ、退職願ひとつとっても、こういう見方も出来るんだよというのが、伝わったらいいなと思っています。