
成功体験を積み重ねる事が大事
この言葉を見聞きしたことがある方は、とても多いと思います。
自己肯定感を高めるには成功体験を積み重ねる事が大事
成長を促すには、成功体験は不可欠
成功体験を積むと、自信がついてくる
私もセッションでクライアントに伝える事も多いし、読んでくださっている方の中にも、部下や後輩に同じ事を言っている方もいるかもしれませんね。
それぐらい「成功体験を積み重ねる」というのは、自己肯定感をあげたり、成長したりするためには重要なものだと認識されているのですが。
タイトルがまさかの「成功体験があなたの足を引っ張る」
このタイトル、本当のことだと思いますか?それともそんな事はないと思いますか?
強すぎる成功体験は毒になることもある
結論から言ってしまうと、「成功体験が足を引っ張る」事は多いにあります。
身近で経験している人も、たくさんいると思いますよ。
例えば、「若いうちは苦労するのが当たり前。上司や先輩にしごかれて、仕事ができるようになっていくんだから。それに比べて今の若い人たちは・・・」という言葉、聞いたことありませんか?
同じ言葉じゃなくても、「私たちの若い頃は○○が当たり前だったのに」なんて言葉を聞いた事はあるはずです。
言われた側は「いつまで昔の事を持ち出してるんだよ」と思いますよね。
だけど言っている側から見たら、自分たちの若い頃の成功体験が正しいと信じているわけです。
それが今の時代や、今のやり方に合っていない事に気づいていない。
特にプロジェクトXの題材に取り上げられそうな、「ギリギリの状態から立ち直った」とか「絶体絶命の状況から成功に導いた」なんていう強烈な成功体験をしていたら尚更です。
自分が成功体験に囚われていて、それが今の成長や新しいことへの挑戦の足かせになっていることに、気づかない・・・なんてことは、たくさんあるのです。
これが「成功体験があなたの足を引っ張る」ということです。
一度うまくいった方法が変えられない・・も成功体験に囚われている
こんなに大きな話じゃなくても、一度うまくいった方法が変えられない。
という経験、ありませんか?
成功体験があると、似たような問題にぶつかった時に、「同じ方法でうまくいくかも?」と思うことはありますよね。
同じ方法を試すことは悪いことではありません。
まず今までうまくいった方法を試してみるというのは、ある種の王道でもありますしね。
同じ方法でうまくいくなら、それでOK。
でも以前の方法ではうまくいかないなんてことは、山ほどあります。
その時に「あー、これだとうまくいかないのか」とすぐに修正できれば問題ありません。
だけどなぜか、うまくいかないと分かっているのに、その方法を変えられない。
たまたま、うまくいかなかっただけ
ちょっと時期が悪かっただけ
きっとタイミングが合わなかっただけ
色んな言い訳を頭に思い浮かべては、うまくいかないとウッスラ感じていながらもやめられない。
結果どんどん問題が拗れて、気づいた時にはどうにもならなくなっている・・なんてこともあります。
それぐらい成功体験って厄介な物でもあると思うのです。
自分の信じていた物がなくなってしまう不安を感じている
つい最近、身近なところで「あー、成功体験に囚われて、現状維持どころか後退しているな」と感じる事があったんです。
口では「このままではいけない。変わらないといけない」と言っているのに、行動はまるで逆。
頑なに今までのやり方を変えず、新しい考え方については「分からない」と頭から決めつける。結局は変えているフリだけをしているのです。
何で、そんな事をするんだろう?
と考えた時に、ふと思ったのが「成功体験を捨てるということは、自分の信じていた物がなくなると思っている」んだろうなということ。
実際には成功体験を捨てるわけではないのだけれど、強烈な体験や繰り返し同じ成功体験を積んできた人にとっては、それはとても恐ろしいことなんだろうなと。
自分の軸がなくなる
そんな気持ちになるんじゃないかと思ったのです。
だから頑なに、自分たちの成功体験にしがみつくんだなーと。
でもこれって、結局はその成功体験から何も自分のものにしていない、何も学べていないってことなのでは?と思うのです。
大事なのは色んな成功体験を積むことと抽象化すること
成功体験を積むことは大事です。
「これをやったらうまくいった」
「こうしたらできた」
という実際の経験を積まないと、いくら本を読もうと、いくら研修を受けようと本当の自信に繋がっていかないと思っています。
特に「自分はダメなんだ」と責めてしまいがちな人は、どんなに小さくてもいいから「できたこと」をメモするワークを出すことも多いです。
だから成功体験なんて必要ないとは思いません。
ただね、成功体験が新しい事を取り入れることの足かせになったり、過去の自分にしがみつく要因になっていたりするのであれば、それはとっとと抜け出す必要があると思ってます。
そのためには、大きなことではなく小さなことでいいので、色んなやり方で成功体験を重ねること。
もう一つは、成功体験を抽象化することです。
成功体験って具体例なわけですが、それを「結局、それってどういうこと?」と考えてみる。
もう少し上の視点や大きな括りで見たら、どう見えるだろうと考える。
成功体験を具体例でしか捉えていないと、その行動や考え方だけに囚われるし、それを変えることに不安を抱いてしまう。
でも抽象度をあげて見ていたら、「そうか。こういう応用の仕方もあるな」「そうか。こういう方法でもできるな」と他のことに転用できるわけです。
そうすれば単なる具体例でしかない、成功体験に囚われる必要はなくなりますよね。
同じ事を書きますが、成功体験を積むことは大切です。
でももし、成功体験に囚われているのだとしたら、それは自分の足を引っ張るだけです。
あなた自身の成功体験が、あなたの成長を促しているのか、それとも足を引っ張る存在になっているのか、ぜひ考えてみてくださいね。