
「見えないものを見る力」なんて言うと、ものすごく怪しそうですが。
そういう怪しい話ではありません。
6/29、6/30の2日間での学びの話です。
この2日間、CRR Japanで開催されているシステムコーチングを学んできたのです。
システムコーチングとは何か?を細かく書くと、それだけで1記事できあがってしまいそうなので、簡単に伝えると、普通のコーチングは「1対1」で実施するけれど、システムコーチングは「1対多」で実施するもの。
そして、1対1のコーチングの場合は、個人に焦点をあてて実施するけれど、システムコーチングは、個人に焦点をあわせるのではなくて、その間にある空気や雰囲気などに焦点を合わせるのです。
最初に「見えないものを見る力」と書いたのが、まさにこの雰囲気や空気のこと。
そして、この見えない雰囲気や空気が、組織に強い影響を与えているんですよね。
個人だけが成長しても、組織は成長しない
『雰囲気や空気が組織に強い影響を与える』と言っても、何のことか分からないという方もいるかもしれませんね。
組織開発において、組織の中にある雰囲気や空気ってものすごく大事なのだけれど、この話をしても「????」となる人がとっても多いです。
特に普段、論理で物事を考える左脳優先な人ほど理解しづらいようです。
「組織を強くするために個人の成長が必要」というのは、すんなり受け入れてもらえるんですけどね。
だから、人材開発とか人材育成に力を入れている組織も多いですよね。
でも、個人が成長した分、組織も成長しているか?と言うと、そうは問屋がおろしません。
例えば、能力がずば抜けている選手ばかりを集めただけで、強いサッカーチームが作れるか?と聞かれたら、きっと「いや、そんなことはない」と答えると思うのです。
組織も一緒なんです。
個人だけが成長しても、それと同じだけ組織が成長するわけではありません。
本来は、「1+1=3」や「1+1=4」にしたいのに、「1+1=2」にすらならず、1.2だったり、1.5だったり、酷いところは0.8ぐらいになっていたりして。
そこに関係してくるのが「雰囲気」や「空気」などの見えないけれど、確実に組織の中にあるものなんですよね。
常に上司の顔色を見ながら仕事をしなければいけない職場は、どんなに一人ひとりの能力が高くても、その力を最大限に発揮するのは難しそうです。
なぜなら、気にするのは「上司の顔色」だから。
これをやっても大丈夫かな?
これをやったら機嫌を損ねるかな?
本当はA案の方が良いけれど、B案の方が気に入りそうだよね。
これでは、組織はどんどんダメになっていきますね。
無気力感の漂う組織では、社員のやる気はどんどん失われていきます。「どうせ頑張ってもむだ」「どうせうまくいくわけがない」「とりあえず、これぐらいやっておけばいいだろう」
やっぱり組織は成長しなさそうですね。
上司の顔色も無気力感も、実際に目に見えるわけではありません。
それでも確実に「そこ」にあるし、それが組織に影響を与えます。それが組織が持つ雰囲気や空気なんですよね。
雰囲気や空気に焦点を当てることは難しい
私は空気や雰囲気を読むのが得意で、それはキャリアコンサルをする時にとても役立っています。
あー、今、心を開いてくれたな
あー、ちょっと心が閉じたな
ここは突っ込んだほうがいいな
こんなことを感じながら、クライアントとセッションをしています。
1対1の時には、クライアントの空気や雰囲気を読んで、それに合わせて色々と突っ込みをいれていくのですが、実はシステムコーチングでは、このやり方はNGなのです。
自分の解釈や判断を加えずに、空気や雰囲気を相手が意識できるようにする。
そして、空気や雰囲気といった目に見えないものを意識できるようにするだけじゃなくて、それを改善していくのって、本当に難しいなと感じています。
トレーナーが「筋トレと一緒です」と言っていたけれど、ほんと、一朝一夕でどうにかなるものじゃなさそうです。
個人が輝くためには、組織の成長は必要不可欠
空気や雰囲気が悪い組織、成長しない組織にいると、そこで働く人たちも、どんどんその空気や雰囲気に汚染されていきます。
せっかく「もっと成長したい」「もっと頑張ろう」と思っても、組織に汚染されてしまったら、本当にもったいない。
働き方改革や、労働人口の減少で、多くの企業で人材育成や人材開発が積極的に行われるようになりました。私が今、お手伝いをしている会社も同様です。
でも、個人が属する組織を育てよう、組織を成長させようと考えている会社は、まだまだ少ないですね。
もちろん、個人の能力開発はとても大事。
でも、せっかく成長した個人が所属する組織の空気や雰囲気が悪ければ、残念ながらその投資は無駄になります。
優秀な人ほど、外に出ていってしまいますから。
だから、個人の能力開発に力を入れるのと同じぐらい、組織への働きかけはとても大事。
そして、そのためには「見えないものを見る力」「見えないものを意識させる力」を鍛えなければいけないのです。
私のシステムコーチングの学びは、まだまだ始まったばかり。
この先も、少しずつ鍛えていきますよ。