
「管理職になりたいです」
「役職はつかなくてもいいけれど、自分がリーダーシップを発揮して、仕事ができるようになりたいです」
最近、既存クライアントから、こんな相談を受けることが増えました。
おお、格好いいぞ!!
でも、その後でたいていこう続くんですよね。
「会社の上司を見ていても、こうなりたいという上司がいない」
「管理職になりたいって言うと、『信じられない』みたいに言われるから、誰にも相談できないし、口にも出せない」
そうですよね。
少し前に求められていたマネジメントスキルと、今求められるマネジメントスキルは違います。
だから昔のやり方をしている人を見て、こうなりたいと思えないっていうのは、ある意味で当たり前。
それに、昔のやり方しか知らない管理職は、どうしていいか分からなくて苦労しているから、それを見ていたら「管理職になりたいなんて信じられない」と思うのも分かります。
でも、私は管理職になりたい。リーダーシップを発揮して、仕事をしていきたい!っていう向上心はすごく素敵だと思うのです。
これからの時代、リーダーシップやマネジメントスキルを発揮できるかどうかって、すごく大きな差になります。
AI時代に仕事がなくならないのは、そういう人だと思うしね。
そんな向上心のある人に向けて、これからの管理職やリーダーに必要な要素を書いてみようと思います。
必要な要素って、実は色々あるのだけれど、今回は3つに絞って書きますね。
1.パワーマネジメントではなく、「分からない」と言えること
ひと昔まえの管理職やリーダーは「俺についてこい!」タイプが多かったように感じています。
よく言えば豪快。悪く言えばワンマン。いわゆるパワーマネジメントです。
「私には管理職は無理かも」という女性に話を聞くと、「あんな風にできない」と言われることも多いので、管理職やリーダーシップと言う時に真っ先にイメージされるんでしょうね。
でも、今の時代、パワーマネジメントは通用しません。どうしてか分かりますか?
パワーマネジメントがパワハラに繋がりやすいから・・だけではありません。
そもそも、パワーマネジメントが機能しづらい社会になっているからです。
「俺についてこい」が言えるのは、自分の過去の経験や自分の仕事のやり方が、通用するからですよね。
確かに昔は、仕事がとてもシンプルだったし、王道と言われるやり方も多かった。
だから、過去の経験則から、「こうに違いない」「こうしたらうまくいく」を弾き出すことが容易だったのです。
でも、今はどうでしょう?
1年前に当たり前だったことが通用しなくなることが増えました。1年前どころか、たった半年で過去の産物となってしまうことも。
となると、過去の経験則が役立たないのです。
もちろん、経験が全く役に立たないわけではないですよ。
ただ、今までのように「これをしていれば間違いない」という場面が、圧倒的に減ったということです。
ということは、当然、管理職が経験していないこと、過去に照らし合わせても判断しづらいことが山ほど出てきます。
だとしたら、「俺についてこい!」系のパワーマネジメントはできませんよね。
ついていったところで、それが正しいのかどうか分からないのだから(笑)
だから、分からないことを素直に「分からない」と言えることが大事になってくるのです。
- 分からないから、一緒に考えて欲しい
- 自分はこう考えるが、他に意見があったら聞かせて欲しい
- 誰か詳しい人がいたら、自分に教えて欲しい
管理職だから全部知っている、全部分かっているなんておこがましい。
分からないことや知らないことがあっても良いんです。それを素直に「分からない、知らない」と言えることが、これからの管理職には必要なことです。
もちろん、分からなくていいや、知らなくていいや、と開き直るのは違うので、そこは誤解しないでくださいね。
2. 仕事ができることよりも、部下に権限を移譲できること
管理職は仕事が出来なければならない。
誰よりも高いスキルを持っていなければならない。
この誤解もよくありますね。もちろん、管理職なのに全く仕事ができない。簡単なことすら決められないのは論外です。
でも、別にスーパーウーマンじゃなくていいのよ。
だって、バリバリ現場で実務やっている人の方が、出来ることが多いのは当たり前だもの。
私は管理部全部が管轄だったけれど(人事、経理、法務、総務)、私の専門は人事。人事の中でも採用と人材育成、人事制度。
給与計算とか年末調整とか私の部下の方が詳しかったし、経理の実務はサッパリだったので、部下に任せっぱなし。
総務も同じですね。私は苦手なので得意な部下に全部お願いしてました。
でも、私が全部できなくたって、何も困らなかったな。
何かを決める時に相談はされたけれど、基本的には、部下がやりたいようにやってくれたらいいと思ってたし、方向性を示すことと大きな判断だけすれば問題なし。
逆にね、全てにおいて自分が出来なければ・・だと部下が育ちません。
私も昔やりましたが、何でも自分でやりたがる人は、男女問わずヒステリックになりがちですね。なぜなら、欲しいのは自分のコピー人形だから。
そんなヒステリックな上司には、ついていきたくないよね。
ついていきたくないどころか、いつも上司の顔色を伺ってビクビクして、結局チームの生産性も落ちていきます。
3.愚痴や弱音を吐き出せる場を持っておくこと
意外だと思われるかもしれないけれど、これはすごく大事です。
私のクライアントもそうなのですが、特に女性で管理職を目指すような人は、とてもマジメな良い子ちゃん気質の人がとても多い。
女性活躍推進とは言われるけれど、実態はまだまだ男性社会。
大声では言わないだけで、男尊女卑の会社だって存在していますからね。
そんな中で、力を発揮しよう、もっと上を目指そうとすると理不尽なことに山ほどぶつかります。
「女のくせに」的な扱いを受けることだってあるし、「そんなに一生懸命働いてどうするの?」って言われることだってあります。
私もどちらも経験しています。
マジメで良い子ちゃん気質な人は、そんな理不尽さにもグッと耐えちゃうのね。
- もっと頑張ったら、周りから何も言われなくなるのかもしれない
- こんな風に考えるなんて、私が間違っているのかもしれない
- 嫉妬したり愚痴ったりするのは、良くないこと
- この人は、こういう人だから私が我慢するしかない
健気だわ・・
健気ですが、傷ついたり憤ったりしている自分自身は、どうやってケアするんでしょうね?
ケアしないんですよ、実際のところ。
というか、ケアする方法を知らないんです。
先日、ある方が「仕事をバリバリしている人や姉御肌の人ほど、スピリチュアルやトンデモな世界にのめり込む」と話していて、なるほどなと思ったんです。
自分をケアする方法を知らない、愚痴や弱音を吐ける場所がない。
だから、スピリチュアルやトンデモな世界にのめり込んで、バランスを取ろうとするんじゃないかな。(私自身も占いにはまった過去があるので、身に覚えあり)
だから、「マジメな良い子ちゃん」という鎧を脱げる場所は、絶対に持っておかないとダメです。
それは、パートナーでもいいし友だちでもいい。
パートナーや友だちには、なかなか仕事を愚痴は言いづらいのであれば、私のようなキャリアコンサルやプロのコーチをつけてもいいですね。
会社は理不尽なことがたくさんあります。
それは、経営に近くなればなるほど感じます。
綺麗事だけではやっていけない。でも、「マジメで良い子ちゃん気質」な人は、それが許せない。
許せないから、理想と現実の間で思い悩む。結果、「私が上を目指すなんて無理」と諦めてしまう。
違うの!諦めるんじゃなくて、理不尽なことに折り合いをつけるの。
愚痴も弱音も吐き出して、悪態ついていいの!!
ひとしきり悪態ついた後に、さて、どうするか?と考えたら良いのです。
リーダーシップに関しては、まだまだ書きたいことがあるので、少しずつ追加していきますね。