
「好きなことを仕事にしよう」
起業する人たちだけに関係するかと思いきや、そうではありません。
「転職したいんです」
「会社を辞めたいんです」
理由を聞くと、「好きなことを仕事にしたいんです」と言われることって、結構多いんですよ。
好きなことを仕事にしたら、毎日楽しく働けそうなイメージがありますよね。
でも、それはほとんどが幻想で、「●●が好きだから」で仕事を選ぶと、多くの場合、うまくいきません。
なぜだと思いますか?
一言で言ってしまえば「好きだから」で務まるほど、仕事は甘くないからなんですよね。
「好きだから」と言うけれど、その仕事でお金がもらえますか?
仕事って、対価が発生しますよね。
会社員であればお給料だし、フリーランスであればクライアントから支払われます。
どこからお金が払われるにしろ、クライアントから「対価を払っても良い」と思ってもらえなければ、仕事としては落第点ということです。
特に毎月、決まったお給料が入ってくる会社員は、つい「会社に出勤してれば、お給料がもらえる」と勘違いしがちですが、違いますからね。
出勤したことに対して給与を払っているわけではなく、やった仕事に対して給与が支払われているのです。
私のブログを読んでくださっている方に、そういう方はいないと思いますが、出勤しているだけで給与をもらっている人は、単なる「給料泥棒」です。
AIが発達したら、真っ先に存在が危うくなるはず。
「●●が好きだから」と言っている●●は、対価としてお金をもらえるレベルですか?
例えば、お料理が大好きだけれど、下手な人がいたとしますよね。
その人のお料理をお金を払って食べたいと思いますか?
お金を払って食べた料理が美味しくなかったら、「えっ、こんな料理でお金を取るの?」と思いませんか?
「お金を取って良いレベルまで腕を上げてからにしてよ!」と思いませんか?
私なら、確実に思います。
わかりやすくお料理を例に出しましたが、どんな仕事でも一緒です。
もちろん、最初から特別なスキルが身につくわけじゃありません。
会社員であれば、新卒の頃から少しずつ成長していくものだと思うしね。
でも、いつまで経っても成長できないのであれば話は別。
「好きだから」ではなくて、「プロとして仕事を提供する」ための努力をするつもりはありますか?
ないのであれば、仕事にするのは止めて趣味程度にしておきましょう。
趣味なら、成長できてもできなくても、誰にも文句は言われません。
「好きなこと」ほど負の側面に耐えられない
どんなことにも、プラスの面とマイナスの面があります。
趣味であればプラスの面だけ見ていれば良いですが、仕事であればそういうわけにはいきません。
綺麗事だけじゃやっていけないし、清濁併せ呑むことも必要だったりします。
「●●が好きだから」だけだと、そのことに耐えられなくなるんですね。
例えば、「人が好きだから」と人材業界を選んだとします。
入社前は「求職者に寄り添える仕事」「求職者の悩みを解決してあげられる仕事」が出来る!と思って、やる気MAXだと思うのです。
でも、残念ながら、そのやる気はあっという間に萎むはずです。
なぜなら、人材業界は言葉は悪いですが、「人を企業に売り込んでお金に変える」仕事だから。
もちろんその中で、企業と求職者がうまくマッチすることはあります。
求職者に寄り添ったり、求職者の悩みを解決できる事もあります。
でも、それだけではやっていけないということ。
人材業界のお客様は求職者じゃありません。あくまでも企業です。
だから、どうやって企業から案件を引き出すのか、企業に人を入社させるのかが勝負。
それを分かっている人じゃないと、人材業界は続けられないはず。
他の業界でも一緒ですよ。
「旅行が好きだから旅行業界」
「洋服が好きだからアパレル業界」
きっと、あっという間に理想と現実のギャップに苦しむはず。
憧れが強ければ強いほど、ギャップは大きくなります。だから「好き」なだけでは仕事は続けることができないのです。
好きなことを仕事にではなく、仕事を好きになる
プロとしての努力を続ける
負の側面にも目を背けることなく向き合っていく
「やる!」と思えるのであれば、ぜひ好きなことを仕事にして欲しいと思います。
でも、「いや、ちょっと無理かも」と思うなら、その「好き」は仕事にしない方が賢明じゃないかな。
私は好きなことを仕事にするのではなく、仕事を好きになって欲しいなと思うのです。
「そんなことを言っても、今の仕事は好きじゃない。お給料のために働いている」
そういう人も多いかもしれませんね。
でも、ちょっと考えて欲しいのです。
本当に全ての仕事が好きじゃないのですか?
もし、「どれもこれも、何ひとつ好きなものはありません!」と言うのであれば、仕事を変えた方が良いかもしれません。
だって、好きじゃない仕事をイヤイヤしていても、成長することは難しいと思うし、成長しなければ評価も上がらず給与も上がらないはずですから。
「そこそこで良い」と思っているなら、それで良いですが、そうではないのであれば、すぐにでも相談にいらしてください!
だけど、何ひとつ好きなものはない!なんてことは、そんなにないんじゃないかと思うのです。
大きな塊で見ると分かりにくくなってしまうので、自分の仕事を細かく分解してみてください。
提案書を作るのは好き。
企画を考えるのは好き
コツコツとデータを分析するのは好き
プレゼンをするのは好き
人のサポートをするのは好き
きっと、「これは好き」だなーと思える仕事があるはずです。
その「好き」は「めちゃくちゃ大好き!」じゃなくてもいいんですよ。
ちょっと好きかも・・ぐらいで全然OKです。
今はまだ「好き」とは言えないけれど、好きになれそう・・でもOK
そういう「好き」が見つかったら、まずは、それを磨いてみてください。
磨いていくと、その周辺にあるものに対しても、少しずつ興味が持てるようになるはず。
そして、自分の仕事に興味を持てるようになればなるほど、仕事は楽しくなっていきます。
全部を自分でやらなくてもいいんです。
周りを見回して、得意な人を見つけて、その人たちを巻き込んで仕事をしていけば良いのですから。
それぞれの弱点を補い合えるのが、組織で仕事をすることの利点。
それは、とことん利用しましょう!!
好きなことを仕事にしなくちゃ!と思っている人ほど、ぜひ、今の仕事で「好きなことはないかな?」を考えてみてください。
「好きを仕事」にすることより「仕事を好き」になることの方が、ずっと簡単だし、ずっと楽しく仕事ができると思いますよ。