会社を辞めたい

会社に行くのがイヤだ

 

そう相談してくださる方に、「そんなに辞めたいと思っているのに、どうして辞めないのですか?」と聞くと、こんな返事が返ってくることがあります。

 

「辞めたいんですけど、私が辞めたら会社が回らなくなります。」

「辞めたいんですけど、私が辞めたら残っている人たちが大変になってしまうので・・・」

 

この気持ちは、私もとてもよく分かります。

正社員時代、同じようなことを思っていましたから。特に管理職やリーダーをしていたり、自分だけが分かる仕事があったりすると、余計にこんな気持ちになりますよね。

 

でも、本当にそうでしょうか?

会社って、社員がひとり辞めたぐらいで、立ち行かなくなるものでしょうか?

もし、そうだとしたら、その会社は別の意味で、相当危機的な条件だと思いますよ。

 

本当に「あなたがいないとダメ」な事はない

私が正社員として勤めた最後の会社を辞める時、けっこう葛藤したんですよね。

 

独立することは決めていたけれど、「私が辞めたら困るだろうな」と思っていたので、なかなか言い出せずにいました。

 

当時の私の状況

  • 管理部門(人事、総務、法務、経理)の部門長
  • 人事は私が、ほぼひとりで担当していた(採用、人材教育、社保、給与、労務、人事制度など)
  • 社長、役員を除けば一番の古株だったので、私しか知らないこと、私しかできないことが多かった
  • 引き継ぎ先を考えた時に、今の人員(人数、スキルや経験)では、引き継げない業務がある

 

私が辞めることで、できない業務が出るのが目に見えて分かっていたので、「辞めたい、でも辞められない」という葛藤をずいぶんと繰り返していたんですよね。

でも、自分のこれからの仕事人生を考えた時、このままの状況がプラスになるとは思わなかったので、思い切って社長と役員に相談。

 

さすがに、持っている仕事と立場を考えると、1ヶ月前に言うのでは困るだろうと思ったので、辞める半年前に相談しました。

やっぱり最初は「応援したい気持ちはあるけれど、辞められると困る」という話はされましたよ。

 

そこで折れることなく、辞めたいことを伝えたら分かりましたと納得してくれたんですね。

半年間の間に私の後任となる管理部門長探しを始めたのですが、全然見つからなくて・・・

 

そもそも、私のように人事全般を広く浅くであっても、経験している人が少ない。

さらに、経理も総務も法務も私の管轄だったのだけれど、経験がある人がいない。

結局、私が退職するまでの間に、私の後任を見つけることができなかったので、管理部門長は社長が代行することに。

 

正直、「大丈夫かな。私が辞めたら回らなくなるんじゃないかな」と本気で思いました。

申し訳ないことをしたな・・とも思いました。

 

でも、退職して半年ほど経った頃、会社に遊びに行ってみたら、ちゃんと回ってるんですよね。

 

  • 私しか出来なかった仕事は、バッサリと切り捨ててるか、残っている社員が出来る形に組み替えられている(人事機能の一部は、現場に移管するなど)
  • 引き継ぎしたことは、人事担当者じゃなくても出来るように工夫されている。
  • 統括する人がいなくても、仕事が滞らないような仕組みを作っている

 

もう社員ではないので、細かなところは分かりませんが、ちゃんと工夫するんですよね。

 

もちろん、私が退職してすぐは困ったことも多かったと思うのです。

「戻ってこない?」「いつ帰ってくるの?」とは言われてましたから。

 

でも、いつまでもその状態でいるわけではありません。

いなければ、いないで何とかするのが会社です。

 

私が見送る立場でも一緒でしたよ。確かに、この人に辞められたら困るな・・と思う人はいました。

でも、実際にやめてしまったら何とかするし、何とかなるんですよ。

 

だから、「あなたがいないとダメ」なんてことはありません。

 

社員がひとり辞めただけで、立ち行かなくなる会社なら、そもそもその方が危うい

それに、よーく考えてみてください。

もし、社員がひとり辞めただけで、回らなくなる、立ち行かなくなる会社があるとするなら、その方が怖くないですか?

 

それは土台がしっかりとしていないということですよ。

よくゲームでありますよね。1本ずつ間引いていって、崩れたら負けというゲーム。

 

あのゲームの「えっ?これ以上、どこを抜けばいいの?」という状態と一緒。

あなたが辞めなかったとしても、他のきっかけであっけなく崩れてしまうということです。

 

例えば、全権を握っているオーナー社長が倒れたり、会社から去らなければいけなくなったりして、会社の存続が危ぶまれるというのであれば、まだ分かります。

 

でも、「雇われている」立場で、「あなたがいなくなったら、会社が存続できない」なら、その会社に居続ける方がリスクだと思いませんか?

 

普段は「会社を辞めたほうがいい」と安易には言いませんが、そんなリスキーな会社なら、「辞めたほうがいいんじゃない」と言いたくなりますね。

会社って、そんなに脆弱じゃないはずですよ。

 

辞めることで滞る仕事があるなら、やるべきは「属人化しない仕組み」づくり

そうは言っても、実際に自分が辞めたら、仕事が滞るという場合もあるかもしれません。

 

私の場合は、残った人たちが工夫して対処していたので、滞ったことはあったはずだけれど、今は何事もなかったかのように回っています。

 

仕事の内容によっては、それが出来ないこともありますよね。

それでも、一般企業で仕事をしているなら「絶対にあなたじゃなきゃ」なんて事はないと思うのです。

 

ただ、混乱をできるだけ少なくしたい、業務が滞ることがないようにしたいと思うならば、やるのは「会社を辞めない」ことではありません。

仕事を属人化させないということです。

 

  • 自分の頭の中にあることは、マニュアルに残しておく
  • 情報は出来る限り共有し、自分の中で抱え込まない
  • ただ長年の慣習だから・・というだけで実施している仕事は思い切って辞める
  • 「やらない」仕事を決める
  • 資料の場所は関係者全員に共有しておく

 

経験が物を言うことは確かにあるけれど、「私だけが知っている」状況をできる限り少なくすることで、「私がいなくなったら回らなくなる」なんていう状況は避けられるはずです。

 

そして、これってあなたのためだけじゃなくて、他のメンバーにとっても良いことなんですよね。

 

辞められない理由は、本当に「会社が回らなくなる」から?

ところで私は、「自分が辞めたら会社が回らなくなるから」というのは、辞められない本当の理由だとは思わないんですね。

 

むしろ、本当は辞めたくないんじゃないの?と思っています。

 

私のことを必要だと思って欲しい

私が役に立っていることを認めてもらいたい

 

そんな気持ちが隠されていることも多いのではないかと思うのです。

実際、「辞めたいんだけど辞められない」と言うクライアントに対して深掘りをしたところ、実は辞めたいと思っていたわけじゃなくて、「もっと認めて欲しい。認めてもらえていないことが不満」だということがあったのです。

 

これは、クライアントが隠していたわけではありません。

クライアントは、本当に「辞めたいけれど辞められない」と思っていたのです。

 

でも、本当は違った。

だとするなら、考えることは会社を辞めて転職する方法ではないですよね。

 

  • 具体的に何を認めて欲しいのか
  • それは、本当に認めてもらっていないのか
  • もし、認めてもらっていないとするなら、なぜそこにギャップが生まれるのか
  • どういう働きかけをするのが良いか

 

こんな風に今の会社でやれることを考えて行動することが大事です。

 

会社を辞めたいけれど、自分が辞めたら会社が回らなくなる・・

 

そう思っているなら、そんなことはありません。

そこだけが引っかかっているのであれば、気にせず辞めましょう。

もしも「うーん・・でも・・」と思うなら、本当に「自分が辞めたら会社が回らなくなる」が理由なのかどうか、自分自身に改めて問いかけてみてください。

 

どうして良いか分からなくなっているなら、いつでも相談にいらしてくださいね。

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