
上司が頼りない
上司があてにならない
もっと上司がこうだったらいいのに・・
上司に不満を持っている人って、きっとたくさんいますよね。
私も、上司に山ほどの不満を持っていたし、私が上司の立場だったときは、きっと部下は私に山ほどの不満を持っていただろうし。
今も、クライアントから上司の不満を聞くことが多いです。
共通するのは、「上司とは、こうあるべき」という理想が自分の中にある、ということ。
理想の上司像と実際の上司を比べて、不満が出てしまっているんですよね。
でも、本当は上司とは円滑な関係を築きたい。
そりゃ、そうです。建前では何とでも言えるけれど、実際のところ、上司との関係がうまくいかなければ、仕事はやりにくいし、高い評価を得ることも難しい。
だから、上司が変わってくれたらいいのに・・と思うわけです。
ただね、上司に自分の理想を乗せれば乗せるほど、残念ながら、上司との関係は悪化していきます。
管理職は役割。完璧な人間が管理職になるわけではない
まだ自分が管理職ではなかった頃、管理職とは「優秀で、人としても出来た人」がなるものだと思ってました。
ところが、自分が管理職になって、優秀でも人として出来た人でもない、ということがよーくわかりました。
単に「役割」なんですよね。管理職って。
「営業」とか「人事」とかと一緒。そこに「課長」とか「部長」とかの役割が付け足されただけなんです。
管理職の側も、勘違いしている人が多いのだけれど、役割を与えられただけで、別にエライとか完璧とかってことは、一切ありません。
それを管理職だから優秀。管理職だから出来た人だと思ってしまうと、「全然違うじゃないか!」と不満が溜まっていってしまうのです。
管理職は絶対に答えを知っている・・・はずはない
この誤解も多いのですが、「管理職は絶対に答えを知っている」と思っているなら、その考えは今すぐ改めましょう。
高度成長期の時代であれば、管理職は正しい答えを知っていたかもしれません。
それは、過去の経験から「こうすれば、こうなる」という予測を立てることが簡単だったから。
でも、残念ながら、今の時代は違います。
変化のスピードがものすごく早くて、極端なことを言えば、昨日の常識は今日の非常識。いつまでも同じやり方が通用しないんですよね。
そして、絶対の正解がない分、予測を立てるのも難しいんです。
上司自身が経験したことがないことも、たくさんあるってことです。その中で判断をくださないといけないんだから、外れることだってありますよ。
だけど、部下からすると、『上司は正しくあるべき』『上司は正解を知っているべき』というのがあるから、上司から「分からない」と言われると、「上司なのに頼りない」と思ってしまうんです。
でもね、管理職が全ての答えを知っている・・なんてことは、絶対にありません。
もしも、管理職が全ての答えを知っているなら、経営判断を誤って倒産する会社は、なくなるはずですよね。
管理職も、ただの「ヒト」である
今、管理職になりたがらない人が増えている、と言われています。
その原因を考えると、やっぱり「上司とはこうあるべき」が強すぎることが、要因のひとつじゃないかと思うわけです。
自分が上司に対して、「完璧であるべき」「成果を知っているべき」と思っているなら、当然、自分が上司の立場になったら、それを求められるわけだよね。
自分にそんなことはできない。自分にそんな責任は取れない
そう思う気持ちが、管理職を敬遠することにつながっているんじゃないかな。
でもね、管理職も単なる「人」です。
管理職と言う役割に「役割手当」が付いているだけで、別にその人自身がエライわけでも、すごいわけでもありません。
(ここを勘違いしている、残念な管理職も山ほどいるのだが・・)
そこに部下側の「理想」を乗っけられると、上司は息苦しくなるんです。
しかも、部下によって上司に求める「理想」は違うわけで・・
それらを全部満たせるはずはありません。
逆に部下が上司に理想を乗せれば乗せるほど、上司は自分の良さが発揮できなくなります。
自分の良さが発揮できなければ、当然結果はついてこないし、結果がついてこなければ、さらに部下の見る目は厳しくなるし・・・
まぁ、悪循環です。
自分のことを批判的に見る部下は、上司の立場から見ると目障りだし、鬱陶しいし、できるだけ関わりたくない。
はい、さらに悪循環です。
残念ながら、上司に自分の理想を乗せれば乗せるほど、上司は理想から遠ざかっていくし、上司との関係は悪化していきます。
「良い上司」になって欲しいなら、自分が上司を育てよう
管理職になったら、すぐに管理職として振る舞えるわけじゃありません。
上司になったら、すぐに上司としての立ち居振る舞いが、身につくわけじゃありません。
いくら、「こういう上司でありたい」「上司とはこうあるべき」と思っていても、すぐにそういう行動ができるわけじゃないんですね。
しかも、全員が管理職としての適性があるか・・と言われると、残念ながらそうじゃないことも多いです。
本人は、「管理職なんてなりたくなかった」と思っているかもしれません。
だから、部下が上司を育てるんです。
こんなことを言うと、「自分たちよりもお給料をもらっているのに、何で、育てなきゃいけないの?」って言われそうだけれど。
上司のために上司を育てるんじゃないんです。自分が仕事をしやすくするために、上司を育てるんです!
上司とはこうあるべき!
管理職なら、これが出来て当たり前!
いくら文句を言ったところで、上司は変わらないし、変わらない上司を見て、ますます不満が溜まるだけ。
それって、自分自身のやる気も、どんどん削がれていきますよね。
だったら、ちょっと発想を変えてみたらどうでしょう?
上司が力を発揮しやすいようにサポートする。
上司が苦手なところはカバーする。
上司にしてほしいことは、気付くのを待つのではなくて、「こうして欲しい」とハッキリと口に出してみる。
言葉は悪いけれど、上司を手のひらの上で上手に転がすんです。
それで上司が管理職として成長してくたら、仕事はやりやすくなりますよね。
それに、もしも、「あー、やっぱりこの人はダメだ」と思う上司だったとしても、自分が上司を育てるために取った行動はムダになりません。
それを見て、今度はあなた自身が抜擢されるかもしれないし、転職する時のアピールポイントとして使うこともできます。
自分の新しい強みに気付くかもしれませんよね。
変えられないことに意識を向けて、毎日文句を言いながら過ごすのか、自分が変えられることに意識を向けて、さっさと動くのか。
さて、どうしますか?
選ぶのは、あなた自身ですよ。