

最近はもっぱらTwitterを利用しているけれど、Facebookで私を見つけたからと、お申込してくださる方もいらっしゃるので、時々は眺めるようにしています。
ご多分に漏れず、「Facebookでは、まず友だちを増やすこと!」という訓示を受けてましたので、私の友だちリストには、1度もお目にかかったことのない方がズラリと並んでいます。
ほぼ、起業女子と言われる、フリーで働く方々だと思われます。
そんな起業女子たちのつぶやきでいっぱいになるTLをツラツラと眺めていたら、頻繁に出て来るフレーズがあるんです
それが「思いが大事」ということ。
「思いが大事」という言葉そのものは使っていなくても、意味は同じ、というのもあります。
ただ「思いが大事」と言う言葉を自分のスキルや技術不足の言い訳のために使っている人が多いなと思わずにはいられないのです。
思いだけで売るファンビジネスは、もう売れない
「思い」が大事ということに異論はありません。せっかく起業するのだから、自分がこれをやりたい!これを伝えたい!ということを仕事にしたいですよね
今は「物」が売れない時代で、人は性能じゃなくてその後ろにある「物語」に共感して買うとも言われます。
特に女性は共感の生き物だから、感情を動かした方が購入してもらいやすいと、どこの起業セミナーでも教わるんじゃないかな?
この記事にも書いたけれど、感情を動かせば共感はされます。
応援しています
がんばって下さい
いつか、会いに行きたいです
そんな風に言ってくれる人は増えていきます。
でも、残念ながら「共感される=サービスを利用してくれる」ではありません。
「応援しています、(でも買うつもりはありません)」「(私は買わないけど、)頑張ってください」「いつか、(気が向いたら)会いに行きたいです」という可能性だって、たくさんあるんですよね。
思いだけで売れるのは、まだファンビジネスがそれほど流行っていなかった頃に始めた人だけじゃないでしょうか。
もしくは、ものすごい美女や、超辛口などのカリスマ性がある人。私を含め「その他大勢の普通の人」がこの手法を取っても売れません。
起業女子だけでなく、情報商材屋さんなど、色々な人が発信している「不幸な私が成功者になるストーリー」もいい加減飽きませんか?
私も最初の頃は、「この人、すごいな」と感動していたけど(←単純)、いつの頃からか「あー、またですか。ハイハイ」と思うようになりました。
誰かの共感を得ようと、大げさに書かれれば書かれるほど醒めていく。
作家や漫画家など、ストーリー作りのプロが書けば違うのでしょうが、しょせん素人ですからね。
結局、誰が書いても似たようなストーリーに乗っかっている「思い」では、もう売れないってことです。
技術やスキルが自己満足でしかないなら、単なる「趣味」でしかない
「思いが大事」と言う言葉を多用している人の中には、自分の技術不足やスキル不足を「思い」という言葉でごまかそうとしている人もいます。
でも考えてみてください。
いくら思いがあっても、下手くそな写真家に写真撮影は頼まないですよね?
いくら思いがあっても、不味いレストランにはいかないですよね?
いくら思いがあっても、粗雑な手作りアクセサリーは買わないですよね?
いくら思いがあっても、中身のないコンサルは受けたくないですよね?
自分がお金を払いたくないものは、他の人だって払いたくないですよ。
それなのになぜか、自分自身のことになると「技術より思いが大事だから」とか「良い仕事よりも気持ちのこもった仕事をしたい」と言い出すんです。
極論すると、思いが1mmもなくたって、プロとしてしっかりした物を提供してくれたら、クライアントはそれで良いんです。
ファンビジネスで「思い」を買っているなら別として、多くの場合は、その「商品」や「サービス」そのものにお金を払っているわけですから。
もちろん、付加価値としての希少性や思いはあります。
でも、それはあくまでも、商品やサービスという土台がしっかりしていることが前提です。
スキルや技術レベルが自己満足でしかないなら、それは趣味でしかありません。
逆に趣味なのであれば、いくらでも「思いは大事」で良いですよね
企業も「思い」だけの人はいらない
起業する人だけでなく、会社員として企業で働く人にとっても、この考え方はとても大事。
特にどうしても行きたい企業があって、そこに転職したいと思っている人は、気をつけてくださいね。
以前、私が採用をしていた会社では、「あまりにも思いが強すぎる人は、不採用」という暗黙の了解がありました。
思いが強すぎる人は現実が見えていません。自分の中の理想で物事を見て、自分の中の理想で物事を語ります。
でも、実際の仕事って、キレイ事ばかりじゃありません。そんな時、思いが強すぎる人は理想と現実とのギャップにダメージを受けて、「こんなはずじゃなかった」と言い始めます。
元からその会社で働いている社員から見ると、「いや、元々こんなですけど?」って言いたくなるわけです(笑)
それに思いが強すぎる人は理想論だけで語るので、そこに自分のスキルや経験がついていっていない人が多いのです。
企業が欲しいのは、思いの強い人ではなく、募集している職種で最大限の力を発揮してくれる人
力を発揮するための原動力として、「思い」があるといいよねなのです。
起業であっても、会社員であっても、自分の仕事に「思い」を持てるのは、すごく素敵なことです。
その思いを大事にするためにも、スキルや技術を身につけることを疎かにしないでくださいね。